ルーム

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やたらAmazon Prime Videoで推してくるなあと思いつつ、アカデミー賞絡みの映画で良いと思ったものが少ない経験から観るのをためらっていました。なんとなく雰囲気がホラー風味なことも敬遠していた理由のひとつなのですが。今回も激しくネタバレを含みますので映画を観る予定の方はすっ飛ばしてください。

5歳の男の子、ジャックはママと一緒に「部屋」で暮らしていた。体操をして、TVを見て、ケーキを焼いて、楽しい時間が過ぎていく 。この扉のない「部屋」が、ふたりの全世界だった。 ジャックが5歳になったとき、ママは何も知らないジャックに打ち明ける。「ママの名前はジョイ、この「部屋」の外には本当の世界があるの」と。混乱するジャックを説き伏せて、決死の脱出を図るふたり。晴れて自由の身となり、すべてが解決して幸せになれると思っていた。ところが-。
-Wikipedia-

お世辞にもキレイだとは言えない狭い部屋で暮らす母子。着ている服もボロボロで食べているものも質素。息子のジャックはその暮らしに疑問も抱いていないし不便も感じていない。そりゃそうだ、生まれたときからその暮らしなんだもの。

定期的に現れる謎の男。その男が必要最低限の食料を持って来てくれる。しかし本気で必要最低限。

部屋には鍵が掛かっていて、その鍵を開けるにはパスワードが必要だった。部屋にあるのは天窓ひとつ。母子はその部屋から出る術を持っていなかった。無論ジャックにはその部屋から出る理由などひとつもなかったのだが母親は違った。母親ジョイにとってその部屋は忌まわしい牢獄でしかなかったのだ。

ある男に「犬を助けて欲しい」と頼まれた高校生のジョイは、そのまま拉致され「部屋」に監禁されてしまう。世間では高校生の娘が行方不明になったと大騒ぎだったが、ついに娘は戻って来なかった。

― それから7年。

ジャックが5歳になったとき、母は脱出を決意する。母の策と息子の機転で母子は「部屋」から脱出することに成功し、晴れて自由の身となった。7年越しの家族との再会。行方不明だった娘が無事に家路にたどり着いて賑わうメディア。「部屋」以外の世界を知らないジャックの戸惑い。ジャックの存在を認めたくないジョイの父親。

ジョイの奇跡の生還にテレビ局は浮き足立って、ジョイをワイドショーに出演させる。そしてジョイに尋ねるのだ。「父親のことはジャックにどう説明しますか?」と。

「ジャックに父親はいない。ジャックの親はわたしだけだ」と言うジョイに「しかし、生物学的な父親は」と続けるインタビュアー。これが現代の話ならSNSは大炎上である。

精神的に追い詰められて行くジョイはある晩服毒自殺を図り、それを発見したジャックは半狂乱。母は一命を取り留めるが入院治療のためジャックと離ればなれの日々。

そしてジャックは「部屋に帰りたい」と思うようになる。

拉致監禁に陵辱、妊娠、出産、育児、脱出、生還…自由を手に入れたはずが「部屋」に囚われ心はどんどん不自由になるふたり。

「自由になれて良かったね」では終わらない、むしろ自由になってからのほうが苦しいと言っても過言ではない生活に、奪われたものと授かったものの狭間で揺れ動くジョイとジャックの心が観ていて痛い。拉致監禁の犯人による性的暴行の末生まれた子、ジャックを愛せないジョイの父親を責めることも出来ないし、ジャックだけが生き甲斐だったジョイがジャックを愛しているのに愛することは罪深いことだと世間に責め立てられているような感覚に陥り生きる気力を削がれてしまうこともまた真理であると思う。

最後にジャックが部屋に行きたいと言い、部屋に「さよなら」を告げ、「ママもさよならして」と過去を断ち切る姿は切なくもあり、雄々しくもある。

一応ハッピーエンドではあるものの、とても考えさせられる映画であることに違いないので、少しばかり重苦しい気持ちになることだけは留意して観てもらいたい作品です。それにしてもジャック役のジェイコブ・トレンブレイがめっちゃ可愛くてイケメンで悶えること必至です。