元イケメン兄弟

2020年の猫日記
毛 玉

メインクーンミックスの仔猫たち

ここまでの経緯はこちら。

猫日記の序章
猫日記を書き始めたはず 昨日の駄文を書きながら「お猫さまのことなんだから猫日記に書けばええやないか」と気付き、よし、駄文を切り上げてお猫さまの話を書こう!と書...

わたくしはとある保護団体が保護している1匹の犬を見て「思い描いている理想が形になってここにいる…」と思いました。勿論さまざまなことを考えました。癒しが欲しいという気持ちは確かに大きいものでしたが、里親を待っている保護犬をしあわせにしたいという気持ちも実は結構前からありました。犬が欲しいだけであればブリーダーやペットショップなども検討したでしょうが、そのときのわたくしにその選択肢はなく唯々保護犬の里親になることしか考えていませんでした。

── いつか大きな犬と暮らしたい。時が経てばきっとお猫さまたちはわたくしを置いて旅立ってしまうだろう。そのときが来たら大きな犬を迎えることにしよう。あくまでもそのときが来たら、の話だけど。

まだそのときは来ていないにも関わらず、きっとお猫さまたちはわかってくれるだろう、という謎の自信で以てわたくしは強行突破を決意しました。辛くて苦しくて逃げたくて潰れそうな心を癒してくれるのは、きっと飼い主に見放され棄てられ心に傷を持ちその傷を癒す里親を待っている犬に違いない……

保護団体の提示する譲渡の条件はやはり厳しいものでしたが、条件だけでいえばわたくしの住環境や家族構成などは問題なく、連絡をすると「ぜひ面会に来て逢ってみてください」と快くお返事をくださいました。

しかし

 

……山形か… ※個人的踏み込んではいけない都道府県No.1

 

いやもうそこは秋田県だ。踏み込んではいけない土地ではない大丈夫だって秋田県だから!思い立ったが吉日根性を炸裂させ高速道路をひた走り、どれだけ走っても抜け出すことのできない新潟県をやっとの思いで抜け出し青い案内標識にはもう「秋田県」と「青森県」の表示しかなくなった場所にそのイケメン(犬)はいました。

待望のイケメンは広いお庭を駆けまわり、おもちゃをくわえて持って来てくれます。あ、これ、くれるんじゃなくて投げろってことですか?ですよね?エイッ……あ、もう1回ですか?かしこまりました、エイッ……あ、はい、このおもちゃお好きなんですね、エイッ……あ、も終わりません。

 

イケメンのお世話をされている方にいろいろとお話を伺いました。犬は群れを作り暮らす動物なので強いリーダーが必要であること。猫とは違い犬はしっかり叱らなければいけないこと。リーダーとして認めてもらえなかったときは完膚なきまでにナメた態度を取られること。ちゃんとしつけられない飼い主は犬を不幸にすること。必要な運動量が半端ないこと。

わかっているつもりでいましたが、実際に犬を前にしたときわたくしは胸を張って「大丈夫!」とは言えませんでした。猫のように扱ってはいけない。好き勝手にさせてはいけない。可愛い可愛いとなでているだけでは犬はリーダーとして認めてはくれない。わがままを許していると犬は自分の立場がわからなくなってしまう。リーダーがいないと判断した犬は自分がリーダーにならなくてはとストレスを感じてしまう。

「猫飼いさんには難しいと思いますけどね。だって本気で叱ったりできないでしょう?」お世話をされている方はそう言いながらも、とても親切に、丁寧に、犬との接し方を教えてくれました。

※ この話には続きがあるのですが、今回は割愛し別の機会(があるのならそこ)に記そうと思います。

 

結論として今回は犬と暮らすことを見送ることにしました。

その保護施設では他の犬や猫も保護されていて、定期的に譲渡会を開き里親を募っているとのことでした。犬と比較して猫の里親を見つけることは難しく、成猫になると里親が見つからないこともあるそうです。犬は犬種がはっきりしていることが多く、猫は雑種が多いこともその一因かもしれません。

施設には保護されて間もない小さな毛玉たちがいて、ケージの中で所狭しと運動会を繰り広げています。保護活動に少しでも協力することができるならと、2匹くらいであればお迎えできることを伝えると大変感謝されました……やっぱり猫の引き取り手、少なくて困ってるのね……

両親どちらかが純血のメインクーンらしく仔猫たちはみなブラウンタビー(茶色の縞模様)でお腹が白い仔もいます。産まれて2か月も経っていない仔猫の性別を見分けるのはかなり難しいようですが、そこは猫マイスターであり猫ソムリエでもあるわたくし、ヒヨコ鑑定士かと見紛う精度で男の仔を2匹ピックアップ。多分1匹は長毛でもう1匹は短毛だろうと推測(当時ははっきりと見分けが付かなかった)。

 

── そして現在。

11月29日の駄文にやっとつながりました。

メインクーンはひとに懐くがベタベタ構われることを好まず、擦り寄っては来るものの抱っこされるのは嫌がるんだそうな。確かにフウさん、スリスリして来るけど抱っこするとあからさまにイヤな顔をして10秒くらいで離脱して行くもんな。それなのに座る定位置は母の真横。膝の上には乗らないけどもくっついていたい猫心。

しかしマルコは事情が違う。

それまではそうでもなかったのに5歳くらいからか、何故かわたくしに着いて来るようになり、仕事から帰って着替えて2階のリビングに腰をおろすと、目の前で「さあ、いつでもどうぞ」という顔をして待っている。

わたくしの前にいる10kgの巨大な猫はまだ何もしていないというのにすでにのどを鳴らしている。名前を呼ぶとより一層大きな音でのどを鳴らす。名前を呼びながら頭をなでると部屋中に響き渡る音量でのどを鳴らしながら膝の上にどっしりと腰をおろし、嬉しさが極まるとポトリ、ポトリとよだれをこぼす……

マルはよい仔だねえ、マルはおっきくてカッコイイねえ、マルは優しいねえ、マルは強そうだねえ、マルは賢いねえ、マルは偉いねえ、マルは可愛いねえ、マルはお利口さんだねえ、マルはよい仔だねえ、マルはおっきくtエンドレス。エンドレス褒めちぎりなでなで。

うっとりとした表情でこぼれるよだれを気にするでもなく、10kgの巨体を無防備に預けながら超特大ゴロゴロを部屋に響かせるマルコ(雄 7歳)。オデコにMのマークを持つ由緒正しきメインクーンミックス(雑種)であり紛れもなくフウさんの兄弟である、はず、なんだが……

性格は温厚でありひとによく懐く。ベタベタ構われることを好まないフウさんとは違い、盛大に構われたがる。名前を呼び褒めちぎり頭をなでながらテレビに目をやると、「ニャ!ニャ!」と文句を言う。さしずめ「余所見などせずちゃんと顔を見ながら心を込めてなで給え」といったところか。

同じ両親を持ち同じ環境で育ったというのにまったく性格の違う兄弟。

付け加えるならフウさんは仔猫の頃から変わらぬイケメンさを保っているのに、マルコは5人くらいは殺してるよね?と疑われてもおかしくないようなやさぐれた顔に育ってしまった。大誤算である。